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コラム

RPAの解説(後編)
導入時の留意点、RPAの将来の役割について

RPAの解説(後編)

前編では、RPAとは何か、その種別、導入事例、メリットなどについて
解説しました。

今回は、実際に導入するにあたっての留意点や、
RPAの将来の役割などについて説明していきます。

RPAの導入にあたり

RPAの導入にあたり

RPAを導入する際の意思決定の方法として、予算統制の手法としてよく使われる「トップダウン方式」と「ボトムアップ方式」が考えられます。
果たして、どちらが良いのでしょうか?

トップダウン式

企業のトップがRPAの導入を宣言し、全社的に導入しようという意思決定方法です。

RPAのメリットが全社的に明確になっていたり、欧米のように部門ごとの職務が明確になっていたりする「ジョブ型」企業の場合は、トップダウンが効果的と言えます。
トップのコミットメントが強力であり、仕事のやり方が統一的になっていれば、RPAの仕様も定義しやすいため、有効な意思決定方法です。

ボトムアップ式

導入を検討している部署単位で、RPAを導入する意思決定方式です。

日本の企業の多くは職務に焦点を当てた仕事の仕方というより、人に焦点を当てた「メンバーシップ型」と言われる仕事の仕方が多く見られます。
人によって業務のやり方がバラバラな場合は、特定部署から始める方が導入しやすいでしょう。
特定部署の小成功をお手本にして水平展開すれば、成功の確率が高まる場合も多いでしょう。

RPAの導入意思決定においては、「トップダウン式」も「ボトムアップ式」もそれぞれメリットがあります。
企業の特性に合わせて導入すると良いでしょう。

RPAの将来

RPAの将来・DXの意義とRPAの関係

RPAは、今後、企業活動や私達の仕事に、どんな風に関わっていくのでしょうか?
DX推進上の役割や、人間の仕事の役割という視点で考えてみたいと思います。

DXの意義とRPAの関係

DXとは

RPAと同様、近年DX(デジタルトランスフォーメーション)というキーワードが声高に叫ばれていますが、そもそもDXとは、「デジタル技術によって人々の生活に変革を起こす」というもので、スウェーデンのウメオ大学のエリック・ストルターマン教授が2004年に提唱した考え方です。

従来のIT技術と言えば、コンピュータを活用して、人間の手作業を簡素化したり、大量のデータを短時間に処理したりするなど、「効率化」の手段として発達しました。

DXの本質とRPAとの関係

しかし、DXの本質は、ビジネスに「変革」をもたらすことであり、コンピュータ化やデジタル化とは、明らかに違う考え方です。

DXには、大きく二つの方向性があると言われています。
ひとつは、企業の外部環境に対して、「IT技術を活用して革命的なビジネスモデルを生み出す」ことであり、もう一つは、企業の内部環境に対して、「業務を革命的に変革する」ことです。

RPAの考え方は、この「業務を革命的に変革する」ことに該当します。つまり、RPAはDXの一翼を担っているとも言えます。
それは、従来のようにIT技術者が業務を学び、それを効率化するというより、業務担当者自身が業務の効率化を通じて、より新たな業務プロセスや手法を生み出すことが求められていきます。

DX推進におけるRPAの役割

DXを進めていく上でのRPAの役割は、大きく以下の3段階のステップを経て高度化することが求められていくでしょう。

「デジタライゼーション」~IT化による業務プロセス強化~

業務のペーパーレス化を図ったり、アナログデータをデジタルデータに変更したりする段階です。
コンピュータの利用が始まった当初のステップと言えるでしょう。

このステップでは、業務レベルでの効率化は図られていきますが、業務内容が変わったわけではありません。この段階では、RPAというより、いわゆる「IT化」の段階です。

「デジタライゼーション」~IT活用による業務自動化~

業務プロセスそのものをITに変え、自動化を図るステップです。コンピュータを本格的に活用し始めたステップと言えます。
品質や生産性は格段に向上しますが、ここまでの段階でも、いわゆる「IT化」の延長段階と言えるでしょう。

「デジタルトランスフォーメーション」~ITと業務の一体化による業務改善~

従来のIT化をより高速化、自動化しつつも、業務のあり方そのものを革新する段階であると言えます。
コンピュータと業務が一体化し、切っても切り離せないステップであると言えます。いわゆるこの段階がRPAのスタートです。

RPA導入後の人間の役割

RPA導入後の人間の役割

RPAが進化したり、AIが多くの業務を行ったりするようになると、業務そのものは革命的に進化していきます。

しかし、その時、私達人間は、どんな立場に置かれるのでしょうか?
世の中では、「AIに仕事を奪われるのでは?」という話をよく耳にしますが、私たち人間の将来の仕事の役割について考えてみたいと思います。

創造的な仕事への関わり

RPAは、人間の設定した条件でルーティンワークを高速に処理することが出来ますが、処理条件そのものを考えることは出来ません。

また、AIについても、大量のデータを与えて学習することで判断業務ができますが、何の判断をすべきかまでは考えてくれません。 RPAにしてもAIにしても、決められた処理は効率よくできるものの、仕事の「目的」まで考えることは出来ないということです。

つまり、私達人間は、仕事そのものの目的を考えたり、処理結果をもとに分析したり、判断したりする「創造的な仕事」が出来るわけです。

心の機微を読んだコミュニケーション

人間には感情があります。そして、他人の感情を推し量る能力もあります。
この部分も、AIやRPAでは中々できない分野です。機械やプログラムはデジタルな情報による処理は得意ですが、人間のような感情を表現したり、感じたりすることは出来ないからです。

例えば、コールセンターのオペレータ職にも、AIで応答させようとする試みがありますが、顧客の感情まで読み取って対応することは出来ません。
特に近年は、中高年もオペレータ職として積極的に採用されている傾向を見ると、より人間的な対応が大切であることが分かります。
つまり、RPAやAIでデジタルな処理を徹底的に行うようになると、本来、人間しか出来ないことがクローズアップされてくるわけです。細やかな人の心の機微が分かる人こそ、求められる人材になるのではないでしょうか?

ビジョニングとリーダーシップの発揮

企業や個人の理想の将来像のことをビジョンといいますが、この、ありたいビジョンを思い描き、達成に向けて努力することを「ビジョニング」と言います。
RPAやAIにはビジョンはありません。そのため、理想を達成しようとする熱量もありません。ビジョニングも人間にしか成しえないことです。

さらに、ビジョンを達成するためには、一人の能力では限界があります。チームを動機づけ、高いパフォーマンスを達成する「リーダーシップ」も必要になります。
ビジョンを掲げ、リーダーシップを取り、チームを成功に導こうとするエネルギーは、人間にしか出来ないことであり、その結果の達成感を味わうことも、RPAやAIには到底できないことです。

まとめ

RPAを実際に導入する際の意思決定方式や、DXの視点や人間の役割の視点を通じて、RPAの将来像を見てきましたが、いかがだったでしょうか?
RPAの本質は、IT技術を活用して業務を効率化することはもちろんですが、新たに価値のある業務推進の方法を発見するための手法と考えることが出来ます。

さらに、RPAやAIなどのツールを人間に対する脅威と考えるより、より人間らしい業務に特化できると考えることが出来ます。
これからは、ルーティンワークを徹底的にRPAやAIに任せつつ、人間にしかできない役割を強化して、仕事をより楽しんでいく時代になっていくことでしょう。

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